月齢15

月が出てるから僕たちの体は青く見えるんだと君はいう/ああそう
いえば暗いときは目の色彩を感じる細胞が働かないんだと学校で習
ったことをぼんやりと思いだしてみる/君の体はそういうわけでき
れいに蒼く光ってる/蒼白いっていうよりは青黒いって感じだなと
君は鼻で笑う/いつだってそうだ今日だってそうなんだ/さっきか
ら君は僕の髪の毛を何度も何度もなでてくれてるけどこれってどう
いうことなんだろなんて考えてみたりする/今日はまだキスはして
もらってない/世間で言うところの均整のとれたたくましい体つき
の君が男にしては何だかきゃしゃすぎる僕にはひどくうらやましい
ことのように思える/僕は君の顔の輪郭をそっと中指の先でなぞっ
てみる/こういう瞬間って何だか好きだなっていうと君はお前って
そういうのが好きなんだなって僕のことをまっすぐ見つめる/やめ
てよそういうのなんか僕が変なヒトみたいじゃないっていうと君は
決まってこう答えるんだ/だってホントのことだろ?/昨日までは
あんなに堅物だった君が眼鏡を外せば実は別人のようだったなんて
よくある話だ/だからといってここまで君にココロの中をとっ散ら
かされる理由なんかあっただろうか/いやないってこれって反語っ
ていうんだよななんて君の鎖骨のあたりを見つめながら考えてた/
考えてた/考えてた/君は僕の髪をなでるのにも飽きたのか僕の体
に指で文字を書き付ける/なんて書いたと思う?/愛してるじゃな
いよね/いった瞬間僕は君は爆笑した/君はベッドに埋まるように
して肩を震わせる/僕は君のからだの重さに辟易しながら間の抜け
たことをいったなと思い直す/そして僕が君の肩あたりにかみつい
てみようかなと思ったとき君は僕の耳元でいった/じゃそろそろ始
めましょうか/僕はそのままの体勢でリクエストする/痛いくらい
に乱暴なキスがいい/そしてそのまま夜明けまで続けてほしいって