大きな木の下のふたり

君が 会いに来た   僕に
連絡もなしに   突然
駅で待ちあわせて、 大きな木の下
光 漏れる  ベンチで
なに話すわけでもなく
黙ったり   ふふ、と笑ってみたり
思い出したように   昔の話とか
   あの絵、全部売れたんだっけか
   風邪ひかなかった?
   ふたりして ひどい風邪ひいたじゃん
   忘れたよ そんなの
訪れた 静けさ 風の音   さわさわと枝のゆれる
見上げると 細かい光    まぶしくは、ないけど
目は開けられない
だめかも
君は 言うと うつむいて、  そのまま
泣いてる?  聞いても  返事はなく、
風の音に まぎれて
君の 嗚咽が きこえるだけ