コインランドリー

真夜中のコインランドリー
                     は
で                             ひ
ちょうど                          と
金魚                            が
 鉢                            い
 の                            な
  ように                         く
                              て
僕は                            好
 世間から隔離されて                    き
         い
         ます。
乾燥器 5kgまで
ぐるぐる ぐるぐるぐるぐる ぐるぐる ぐるぐるぐるぐる ぐるぐる ぐる
くたびれたTシャツと
   ゴムの伸びきったパンツ
     襟が真っ黒のワイシャツ
 ぐるぐる ぐるぐる ぐぐる ぐるぐる ぐるる ぐるぐるぐる ぐるぐる
 君にもらったネルシャツ
ワークブーツに似合うごっつい靴下
            コーネリアスのTシャツ
       デニムのパンツ
 るぐる ぐ  ぐる ぐるる ぐるぐ ぐぐる ぐるぐる ぐるぐるぐる ぐる
               100円で10分運転します
たとえば
   たとえば
    た とえば。
 ここで今 本当にひとりきりになっても、2~3日は持つ、
 だ
  ろう。
 伊藤園 ダイドードリンコ(ねえ、なんで「ドリン『コ』」なの?)
 コカコーラボトラーズ(なぜか鈴木京香のポスター付き)ときて
 明治乳業、グリコ
     と
     まあ、これだけの自動販売機があるからだ。
  おもわず「♪グリコ」とか口ずさんじゃうのが寂しいけど
 これをぶっ壊していけば大丈夫。
 硬貨だって手に入るしって、ひとりしかいないんだったら
 お金なんか意味ないじゃん
 あれってただの金属の固まりじゃんって
         僕、誰にむかっていってるんだろう?
古ぼけたカラーボックス(980円、かな)には
なぜか「バディ」。
    そういや、この前きたときは
    おとなしそうな見た目の男の子が
    ずーっとこっちを見てたなぁ。
           うん、たしかに。
    で、彼の手には「バディ」。
    そのときは僕、カジくんみたいに半ズボンはいてたから
    もしかして、彼は、ショタコン?
んなわけないか。
でも、ちょっとドキドキした(ウソ)
とまった...と思ったら、
となりの乾燥器(大)だった。
ずいぶんためこんだなぁ、と ひとごとなのに
感心したりして。
なかの物から察するに、きっと学生さん。
      「あ、
          あの。」
            後ろから、声。
            ふり、むく。
            と。
   「そこ、ボクの洗濯物……」
        こりゃまたずいぶんと気弱そうな男の子。
        って、この前の彼じゃん。
   「この前もいましたね。この近くなんですか?」
               「それは秘密です」
   スナドリネコさんよろしく一言だけ。
   そのまま深夜の観察会に突入する。
   彼は頼みもしないのに自分の身の上を話し始めた要約すると高校のと
   きに先輩に襲われてから男にしか興味がわかなくなってでそのときの
   先輩に僕が似ていたらしく一目あったその日から恋の花咲くこともあ
   る見知らぬあなたと見知らぬあなたがパンチでデート(いらっしゃ~
   い←それは違う番組だろ)てなことらしいなにを考えているのだ君は
        「あんた、バカぁ?」
  そうこうしているうちに乾燥器が止まったので、
  洗濯物をとりだしながら
  僕は無理難題をふっかけた
  「ここで裸になってオナニーしたら、そしたらつきあってあげてもいいよ」
  その男の子は見るからに悲しそうな顔をして、洗濯物を抱えて
  ここを出ていった。
  なにか落とし物をして。
  つまみ上げると、パンツ。てぃーばっくってやつですか。
  恥かかされて、パンツまでおとして、可哀相なヤツ。
  でももしこれを持って、探しにいったら、
  非常に間抜けなシンデレラだなぁ、と、世間の夢など
  すっとばかすようなことを思っては
     笑った。
  笑った。
          笑った。
            笑った。
      咳が出た。
        苦しい。
          でもまだ
       笑っているんです僕はこの馬鹿馬鹿しさに呆れるほど!
だからっつって 人の洗濯物持って帰るほど
着るものには困っちゃいないし(←そういうことじゃないだろ)
まして変態でもないので
      「わすれもの」と紙がはってあるカゴに
    ほうりこみ
      丸椅子に腰掛け
          しばし一服。
       (お気に入りはケントマイルドボックス入り)
あ、雪だ。
    こんな隔離された場所にも雪は惜しみなく降るんだなぁ
    なに勝手に隔離されたなんて思ってんだろ
    早くしないと 道 凍るぞ
      と わざと声にだしながら
         僕の唯一の居場所である
           コインランドリーをあとにした。
                 また、今度。