ガチのカメラだと警戒されるけど
写メくらいならわりとあっさり
音がしてから「なんだよ」って顔で
だけどアルバムには君の姿
誰にも見せない あたしだけが知ってる
目を伏せたときのまつ毛のカーブが好きで
あんまりいじるのが好きじゃない眉とか
見てるだけで泣きそうになったことがある
なんてこと絶対に言えないし話せない
本当は彼女のことが好きなんでしょ
聞いてもきっと同じことしか言わないよね
何度もくりかえしたらいつかもしかしたら
なんて あたしもバカだなあ
何枚も写メしてたらこっち向いてくれた
唇とがらせて
歯を見せて
大きく口をひらいて
三枚撮ったら「暗号解読」
肩を叩くとそのまま走っていった
もう
消せなくなっちゃったじゃん
カテゴリー: 2013
ひとりあそび
おおぜいであそんでいるのを見ているのがすきだった
ときどき中に入りたいとおもった
できなかった
たまにうまくいったときにぼくをきらいな人たちが
さっといなくなることがあってそれにきづくと
ぼくが中に入ってからだれかがいなくなるまでの
きかんをよそうしてあそんだ
それが楽しくなるころ
べつにむりして中にはいらなくてもいいことに気がついて、いま
howdy
おはよう
こんにちは
僕の声は聞こえますか
ぬいぐるみ相手にしていた練習も
そろそろ終わりにしたいのです
外は晴れ
帽子をかぶって出れば
なんの問題もありません
誰とも目が合わせられなくても
哀しむことはしたくないのです
外は雨
傘をさして出れば
なんの問題もありません
おはよう
こんにちは
僕の声は聞こえますか
こんばんは
さようなら
僕の声はとどきますか
通勤電車
僕の身体に割りこむようにして君の身体が侵入してくる。
厄介さと充実感。
熱さと苛立ち。
ぴったりとはりついた僕たちは少しずつ体温を上げ、
知らず、前歯に力を入れる。
我慢とか。やり過ごす力とか。
隙間があいて、ずらす眼前に
君の、顔。
視線が合う前にもう一度ずらす。
曇るガラス。
呼吸とともに大きく、小さく。
すべての動きが止まり
僕たちを覆うものが吐き出されようやく離れる。
もうやだ、
と、
また会えるかな、
の、
中間。
態勢を直したら汗ばむ空気をまとったまま、もう少し。
あかり
思い出に灯をともして
一列に並べる
一つ置いては一歩下がり
一つ置いては一歩下がる
光の列が長くなって大きく蛇行した川になる頃
君との思い出はすべて光になり
僕の来た道を照らすのです
君との思い出を燃料にして
灯はゆらりと空を照らす
一際大きく燃えるのは二人笑った日のこと
小さく小さく揺れるのは人知れず泣いた日のこと
たぶん誰もなんのことかはわからないでしょう
光の列が波となり大きく小さく寄せて返す頃には
僕の心は空になり
いつか新しい記憶を重ねる場所を作るのです