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1997年9月26日

はれたから

朝のラッシュがキライで
渋滞の道をくぐり抜ける
ようにして会社にかよう

毎日毎日おなじこと
くりかえすようにして
なにも考えないように
失敗だけしないように

重くしめった空気
地下道をかけぬける
学生時代とかわらない道のり
僕がいない中央線
ぎゅうぎゅうづめのひとりぼっち

ひたいをつけた手あかだらけのてすり
僕のからだをすこしだけ
冷たくしてくれる

「きみはひとりでも
 いきてゆけるから」

なんてありきたりな言葉
何度も何度もかみしめては
煮詰まったコーヒーに
ミルク落としてすする
そっと





いようなしあわせ

いまさらかき集めて
ジグソーパズル編むように

もうなにもなくていい
だれもいなくてもいいと
書類でうもれながら願う

音のない箱のなかで
キーボードの音だけたたきつけて

はれたからきょうは家まであるいてかえろう

きみのいない家まで