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1997年3月21日

ライナス

そして今日も僕は疲れた体をはうようにして部屋に入る

部屋のすみにくしゃくしゃになった毛布を
自分の肩にかけて床の上 何も映らないテレビを見る

あの日外した電話の線は今日もつながることなく
成り行きで持つことになった携帯電話も結局
一度も使うことなく契約は解除してしまった

君が悪いわけじゃない
僕は異常なんかじゃない

部屋から差し込む月の光で光合成をすることは可能だろうか?

真っ暗なままの部屋の中で
僕が今ここにいることを確認したあと
僕がすべきことはいったい何だろう

目を閉じたが最後 僕がこのまま命を閉じてしまっても
そのことに気がつく人は何人もいないはずで
誰かから受け取るはずのぬくもりは
すりきれた毛布からもらうだけになってしまった

薄れてゆく意識を振りきるように
「逃げちゃだめだ」を反芻して
もう何時間かうつらうつらとしたら

また 仕事に行かなくちゃ